代表的日本人

対訳・代表的日本人「人のためにすることをしなさい」と教えられたのは、小学校の道徳の時間が最後だったような気がする。
いつの間にか、世の中は、お金儲けが出来る人が偉いような風潮になっている。
内村鑑三による「代表的日本人」は、日本人としての、人の正しいあり方を思い出させてくれる。

内村鑑三が西洋人に対して、日本人のあり方を説明するために書かれたのが本書である。
元々英語で書かれた著作の翻訳本である。
右半分に原文の英語、左半分に翻訳した日本語という構成だが、日本語部分しか読んでいないので、半分しか読んでいないとも言える。

取り上げられているのは、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人である。
上杉鷹山、中江藤樹に至っては、名前も知らなかった。

上杉鷹山は、当時傾いていた上杉家を立て直し、質素と改革によって豊かな国を作った藩主である。
中江藤樹は、近江の聖人と言われた在野の教育者である。

中でも、やはり二宮尊徳が凄い。
農政改革を行うために、一番始めにするのが道徳心の向上なのである。
「民に仁術を施し、強い報恩の念で人々が一致結束してこそ、始めて事業が可能になる」
なんとも気の長い話だが、正しいとも思える。
今では忘れかけられた、「道徳的正さ」がそこにはある。
閉鎖的な現代においては、行動の軸を見直すために、過去に学び直すのも良いかもしれない。

ただ、日蓮上人の過激さには、ついていけなかった。

[amazonjs asin=”4770029284″ locale=”JP” title=”対訳・代表的日本人”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です