ルビコン川を渡り、祖国ローマに攻め入る決断をした後のカエサルの物語である。
軍人としてのカエサルも素晴らしいが、政治家としては天才である。
ローマの敵対勢力を退け、唯一の権力者となったカエサルは、都市国家ではなく、帝国となったローマに相応しい改革を押し進める。
政治改革、金融改革、行政改革、「解放奴隷」登用、属性統治、司法改革、社会改革(福祉政策、失業対策、植民地政策、組合対策、治安対策、交通渋滞対策、清掃問題、贅沢禁止法)、首都再開発などなど、これらの改革を一人で推進した。
その基本理念は、「寛容」である。
とても人間業とは思えない。
しかし、道半ばで、呆気なく暗殺されてしまう。
それも、王制の復活を恐れた、無計画な暗殺だった。
ひとつの時代が終わってしまった。
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