穴  HOLES (講談社文庫)犯罪を犯した少年が、日々穴を掘る労働を課せられるキャンプでの物語。
とても有名な児童文学だが、かつてペーパーバックで読もうとして、挫折した。
翻訳で呼んでみたら、難しい話ではなかった。

主人公の少年は、有名な選手のスニーカーを盗んだという濡れ衣で、キャンプに収容される。
主人公の一族は、大昔に呪いをかけられている関係で、不運に慣れている。
だから、強制収容所のようなキャンプに入れられても、どこか達観している。
そして、なんとなく前向きである。
主人公のこの雰囲気が、陰惨なキャンプの中でも、暗くなりすぎず、読者の共感を得易い理由となっているのだろう。

毎日1個、深さ1.5m、直径1.5mの穴を掘らなければならない。
なぜ穴を掘るのか?
この謎は、少年の一族のエピソードとともに、徐々に明らかにされる。

収容されている少年たちは曲者揃いだし、彼らを監督するカウンセラーもなにやら怪しい。
所長に至っては、魔女としか思えない。

全く取り得のなかった主人公が、仲間の一人に読み書きを教えることで、友情を育み、自信が生まれてくる。
成り行きとはいえ、呪いが解けるところは感動的である。

ガルシア・マルケスやジョン・アービングを思わせる、とぼけたファンタジーである。

[amazonjs asin=”4062755874″ locale=”JP” title=”穴 HOLES (講談社文庫)”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です