僕とおじいちゃんと魔法の塔1~3

僕とおじいちゃんと魔法の塔(1) (角川文庫)「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズの作者だけに、こちらもほのぼのしている。
家族とのすれ違いを扱った1巻こそ若干シビアだったが、2巻以降は脳天気さを取り戻した。
暗くドロドロした小説も悪くないが、香月日輪の作品を読むと、人間はイイものかもしれない、と単純に思えてくる。

よく出来た弟とかわいい妹、頼りになる父親と優しい母親を持つ龍神は、成績も運動もそこそこの目立たない小学生だった。
しかし、お化け屋敷のような廃墟の塔で、おじいちゃんの幽霊と出会って、龍神は変わった。
善人であるが異質な存在を受け入れられない家族と別れ、魔法の塔で暮らすことにしたのだ。

自分というものの無かった龍神が、自分を見つけ、家族の反対を押し切ってでも一人で暮らすことを選ぶ。
ここまでは、かなりシビアな展開だった。
小学生が家族と袂を分かって一人で暮らすのは、親から見れば家族崩壊である。

でも実際には、物の分かった大人であるおじいちゃん(幽霊)と、足は不自由だが気楽な親友と、龍神は魔法の塔で楽しく暮らすことになる。
2巻きでは、いきなり龍神が高校生になっていてビックリする。
そして、美少女のフリをした魔女まで住み着き、魔法の塔はますます賑やかになって行く。

人間の持つ欲望や浅はかさについて、幽霊や魔女からチクチクと批判されるが、概ね明るく楽しいお話である。
私の読んでいる小説の中で、ためらいなく子どもに勧められる珍しい本だ。

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