完全なる首長竜の日

【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)ひょっとしたら凄い小説家なのかもしれない。
主人公の女性漫画家が子供の頃に訪れた南の島の青い海や、竿に付けられたた赤い旗が、鮮明なイメージで迫ってくる。
日常の描写が上手いので、その日常が剥がれ落ちていくのが、とても恐ろしく思える。

主人公の少女漫画家淳美は、一時は売れっ子だったが、この頃落ち目である。
彼女は、自殺未遂で昏睡状態にある弟と、最新の医療技術で接続し、意思を通わせることが出来る。
弟の意識世界で自殺の原因を探るうちに、彼女の周りで不可解な現象が起こり始める。

ピークを過ぎた漫画家の気怠いような日常生活の描写がリアルである。
そこに、異様な現象が入り込む恐ろしさは、その落差ゆえだと思う。

本当の意味での和製ディックであり、遅れて来たモダンホラーでもある。

このレベルがキープ出来るなら、今後の要チェックの作家である。

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