なぜ、いまさら「花とアリス」の前日譚なんだろう。
それも実写ではなく、アニメーション。
でも、予告で「花とアリス」のテーマソングを聞いてしまうとファンとしては観に行かざるえない。
アニメになっても、きっちり「花とアリス」だった。
流石は岩井俊二。
「花とアリス」は、数年前に岩井俊二が監督した女子高生2人の奇妙なラブコメ映画である。
びっくりするような発想をする恋愛体質のハナと、何事にも自由なアリスの楽しくも切ない名作だった。
「花とアリス殺人事件」は、中学生の時に2人が出会い、親友になるまでの物語である。
「殺人事件」とタイトルにあるが、女子中学生2人の可愛らしい冒険が描かれている。
アリスが越してきた家の隣の「花屋敷」では、ハナという少女が引きこもっていた。
アリスの通う中学校で伝説になっている「ユダの殺人」の秘密を、そのハナが握っていると知ったアリスは、ハナの家に忍び込む。
ハナに捕まったアリスは、「ユダの殺人」の秘密を探るため、ハナの指示で捜査に乗り出すことになる。
現代の日常におけるちょっとした冒険や楽しさ、美しさを描くことについては、岩井俊二は恐ろしく才能があると思う。
コインパーキングでさえ、二人で夜をすごすと、美しい思い出の場所になる。
アニメーションにすることで、街の風景が現実よりも印象的に表現されている。
さすがに主演の鈴木杏と蒼井優が中学生を演じるのは無理があったと思うが、アニメで声をあてている分には違和感がない。
映画館で配られる小冊子に、マンガでもうひとつのラストが描かれている。
ほろっとさせるオチで、これも気が利いている。
アリスのお母さんの職業が小説家だったのは驚いた。
有栖川有栖のパロディなのだろう。
家に帰ってからオリジナルである「花とアリス」を観直した。
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