愚物語

愚物語 (講談社BOX)前巻の巻末に宣伝こそあったが、まさか本当に「物語」シリーズが続くとは思わなかった。
あれだけ見事に、アクロバットにオチをつけたのに、どうやって続けるつもりだろうか、と思っていた。
本作は、続きというよりも、外伝的な短編集である。

第1話の主人公は、老倉育である。
誰だろうと思っていたら、丁度アニメ版「終物語」が始まったので、阿良々木暦の高1の時の同級生だと思いだした。
「終物語」の後に、彼女が転校した先での話しである。
彼女の一人称で語られれ、自分がいかに最低で、下劣な人間であるかを常に主張してくる。
始めは面倒なヤツだと思っていたが、だんだん彼女が好きになって来た。
彼女の阿良々木嫌いも、ここまで徹底すると片思いなのだろう。
結局、怪異が登場せず、池袋ウェストゲートパーク風のいい話だった。

第2話の主人公は、神原駿河だった。
彼女と忍野扇(男子版)が神原の母の仕掛けた謎を解くミステリーだった。
ファイナル・シーズンを読んだ後だと、この時点での忍野扇の立場は? ということが気になってしまう。
神原駿河の背景は、まだまだ深掘りしがいがあり、スピンアウトが登場しそうだ。

第3話の主人公は、阿良々木月火ではなく、斧乃木余接なんだろうな。
阿良々木月火の監視役として阿良々木家に残った斧乃木余接が、月日に翻弄される。
そこそこアクションもあるので、映像化しやすそうな話だ。
月日の悪辣なまでのポジティブ志向は、怪異としての特性かもしれない。

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