製品開発の方法論である「リーン」をサービス開発に利用しようという本である。
考え方として面白いが、新しい用語が多く、一度読んだだけでは理解しきれなかった。
著者が催眠術療法士だというのも面白い。
著者は、現代において分断されてしまったデザインとビジネスの再融合を提唱している。
見た目の美しさに特化してしまったデザインを、かってのようにビジネス全体の設計に戻そうというのだ。
また、製品を製造するための効率化により、人生の目的と金銭を得るための仕事が全く関係なくなってしまったことも問題だと言う。
サービス・スタートアップにおいては、サービスは「ジャーニー」だと考える。
サービスをデザインすることは、ジャーニーをデザインすることである。
究極的には、人生のひとときをデザインする。
ジャーニーには次の3つの段階がある。
・学ぶ 参加して学習する。
・使う 経験しなければ評価できない。
・記憶する 記憶されることを目的とする。
サービス・スタートアップでは、この3つの段階をデザインする。
既存の製品開発と違い、構想の初期段階からユーザが参加する。
リーンのMVPに対し、サービス・スタートアップでは、MVSから始める。
MVSとは、Minimum Valuable Service(有益な最小限のサービス)である。
MVSでは、次のようなアプローチで進める。
1.その人物がどのように生活し、仕事をし、他者と関わるか深く探る。
2.そこでその人物にとって良いサービスとなり、あなたが払える金額のものを探す。
3.彼が気に入るかどうか確かめ、何かを学習し、ステップ1に戻る。
文化人類学者のフィールド調査のような手法である。
大企業が変化出来ない理由として、以下の指摘は興味深い。
スタートアップにとって、変化と失敗は日常業務の一部だが、大企業のリーダーは失敗リスクを最小限に抑えようとする傾向がある。
MVSモデルの作成について細かい説明があるが、新しい言葉が多く、イメージを掴むのが難しい。
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