ビジネスモデル2025

ビジネスモデル2025よくある流行りのビジネスモデルを紹介する本だと思ったら、かなり奥深い本だった。
新・経済パラダイムを前提として2025年のビジネスモデルを考察している。
相対的に貨幣経済の衰退することを前提としているので、儲けるための方法を提案しているわけではない。
SFのようでもあるが、我々の生活が一変する新しい経済が既に始まっているのかもしれない、と思わせるインパクトのある本である。

貨幣経済に共有経済、物々交換経済、贈与経済が高度に融合した世界が既に始まっており、今後は主流になるというのがこの本での前提となる主張である。
収入が下がっても、共有や物々交換で生活費が更にかからなくなるので、結果的に豊かになり、生活にそれほどお金が必要ではなくなる。
また、起業のコストも下がるので、ビジネスにおけるパワーが大企業から個人にシフトする。

コストゼロの共有経済が台頭する。
ITの支援により取引コストが限りなくゼロに近づき、欲しい人と提供できる人のマッチングが手軽に出来るようになる。
それは物品だけでなく、能力の低価格での提供も含まれる。
所有という概念が薄まる世界が登場するのだ。
そのような社会で、企業や人々が何を目指すべきかのヒントが本書の大部分を占める。
タイトルだけ羅列すると、以下の通りだ。

1.ロボットの継続課金
2.モノのオープンプラットフォーム
3.物流再構築モデル
4.ネットワーク力による価値消費の最適化
5.クラウドソーシング利用モデル
6.ポッドソーシング利用モデル
7.個人と地域を活かすニューサプライチェーン

最後に、新しい世界で必要とされる哲学について考察されている。
新しい哲学の必要性は理解できるが、それが仏教かどうかはよくわからない。

誤解を恐れずに言うならば、現代の単純なプロフィットパラダイム、つまり自社の貨幣的利益のみの最大化をただひたすらに追う資本主義はゆっくりとした終焉のスパイラルに入っており、新たな経済パラダイムが出現しようとしている。
その最も大きな理由のひとつが、取引コストが限りなくゼロに近づいていくからである。
あらゆるものが瞬時にマッチングされる、取引コストゼロの社会。それがこれからの社会である。

友人や近所から借りたり、物々交換したり、タダでもらえるものがあればもらい、あげられるものは送料だけもらって欲しい人にあげてしまう。さらに、3Dプリンタなどで簡単に安く作れてしまわないか検討した末、最終的に「購入」という手段を取っていくのである。人類がこれから向かう世界は、所有という概念が薄まる世界であり、価値消費は、モノやサービスにアクセルするという概念に収斂されていく世界である。

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