「シックスセンス」「サイン」「ヴィレッジ」で有名なシャマラン監督によりドラマ化されたサスペンスの原作である。
古典的な設定だが、読ませるサスペンスだ。
驚くべきオチは、とてもシャマラン好みだと思う。
そして、もっと驚くのは、この作品に続編があるということだ。
記憶を失って目覚めた男は、やがて自分がシークレットサービスの捜査官イーサンだったことを思い出す。
イーサンは町の人々に助けを求めるが、誰にも相手にされず、自分の精神状態を疑うまでに追いつめられる。
しかし、町を出ようとすると、道は町に戻ってしまうし、森の先には巨大な壁があり町から出られない。
ついに町の秘密を知ったイーサンは、町全体を敵に回し逃げ惑うことになる。
途中、年をとった友人に出会ったり、怪物に襲われたりするので、現代を舞台にしたサスペンスではなくファンタジーかと思った。
町全体に呪いがかけられている・・・というような。
でも、設定としては懐かしいタイプのSFだった。
最初、イーサンは状況を把握するために町の人たちを尋ね歩く。
だが、誰からも自分を疑うような情報しか得られない。
周りの人間が誰も信用出来ない雰囲気は、「プリズナーNo.6」や古い侵略SFを想わせる。
イーサンが秘密を知った後は、とにかく逃げる。
ミステリーから手に汗握るサスペンスに変わる。
子供の頃に夢中で読んだ「ペルシダー」シリーズのような楽しさである。
最後のオチはちょっと驚く。
筋の通ったSFだったことがはっきりする。
しかし、このオチで続編があるとは思わなかった。
秘密を知った後で楽しめるかは疑問だが、それでも読んでみたくなる。
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