昆虫こわい

[カラー版]昆虫こわい (幻冬舎新書)「昆虫こわい」の「こわい」は、落語の「まんじゅうこわい」的な意味の「こわい」である。
本当は大好きだけど、「こわい」と言っておいて方が相手が寄ってくるかもしれない、という期待を込めた言い方なのだ。
昆虫バカの昆虫博士が、世界中で昆虫採集をしている様子が楽しげに語られている。

生物学の世界では、ニッチな世界を研究している学者が少ないようで、愚直に調査を続けていれば新種が発見できるようだ。
簡単なことではないだろうが、本書を読んでいると、「世界初」という言葉によく出会う。
お金にならない分野は、あまり研究されていない、ということだろう。

この本で語られる昆虫研究旅行は次の通り。

・2012年1月 ペルーその1
・2013年9月 ペルーその2
・2010年1月 カメルーンその1
・2015年5月 カメルーンその2
・2012年6月 カンボジア
・2000年5月 マレーシア
・2016年9月 ミャンマー
・2016年5月 ケニア
・2016年1月 フランス領ギアナ1
・2017年1月 フランス領ギアナ2

とにかく昆虫採集をしてさえいれば幸せという人なので、どの旅行記も楽しそうだ。
好きなことを仕事にするとは、こういうことかと思わせる。
いまからでも、昆虫学者になりたくなる一冊だった。

たっくんと奇人は撮影。私は撮影済のハネカクシがやってくる行列のさらに先に陣取り、夢中になってハネカクシを吸虫管で吸った。私のこれまでの昆虫人生において、これほど充実して幸せな時間はあっただろうか。大好きなアリ型ハネカクシ、しかも何十年も見つかっていなかった憧れの珍種の数々を、よりどりみどり・・・・。私はこのために生きていたのだ!

楽しい時間が過ぎたころ、雷が鳴り出した。急いで撤収し、山を下り始めたときには大雨となり、登山道は滝のようになった。しかしずぶ濡れになりながらも、あまりに幸せだった時間に、笑いがこみあげて止まらないまま下山したのを覚えている。

そこにはとても昆虫とは思えない大きさのタイタンオオウスバカミキリがバタバタと歩いていた。それをむんずとつかんだときの感触と驚きは今でも忘れない。でかい、本当にでかい。まるで大きなイセエビでもつかんでいるような気分である。

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