グレイス・イヤー

確かに女の子版「蝿の王」だった。
女性差別のデストピアだが、現実にも女性差別の国は多い。
ツラい話だが、読み易く、一気に読める。

女性が思春期になると魔術を持つと恐れられている国で、少女たちは彼女たちだけのキャンプに送られる。
帰ってきた少女たちは、決してキャンプであった出来事を語ろうとしない。
周囲のしきたりに違和感を感じていた主人公の少女は、キャンプに送られ驚くべき経験をする。

ベースにあるのは女性に対する恐れと蔑視だが、恐ろしいのは同年代の子供だけになった時の彼らの行動である。
親たちの監視のもとでの常識は失われ、原始的で魔術的な世界観に支配される。
何が人して正しいかが失われていく。

嫌な話だが、よく出来たエンターテイメントだった。

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