「植物」という不思議な生き方

さすがにこの手の本を多く読んでいるので、驚くほどの発見は減ってしまった。
そうは言っても、知らなかった事もいくつかはあった。
しかし、人間社会を引き合いにした説明が多すぎて、その部分は、途中から読み飛ばした。

植物は化学兵器で戦っている。

活性酸素を発生させて、病原菌を攻撃する。
しかし、病原菌も進化して耐性を持ってしまったので、活性酸素を体内での緊急事態を知らせる信号として使っている。
活性酸素は植物自身にも悪影響があるので、抗酸化物質であるポリフェノールやビタミン類を生成して対処している。
それを人間も利用している。

ワサビのシニグリンはそのままでは辛味成分を持っていないが、昆虫の食害で細胞が壊れると、細胞外の酵素と反応して、辛味成分を生産する。

渋柿やお茶のタンニンは、昆虫の体内の消化酵素を変質させ、食欲を減退させる。
昆虫によっては、タンニンの作用を防ぐ物質を分泌している。

植物と他の生物の共存も面白い。

アリ植物と呼ばれる植物は、枝の中にアリを住まわせて、栄養素も与えている。
お返しに、木の葉を食べる昆虫から守ってもらっているのだ。

根粒菌は窒素を取り込み、植物に提供している。
しかし、働きの悪い根粒菌には、窒素の供給を停止してしまう。

「赤の女王仮説」というのは、植物の防衛競争をやめて、病原菌が共存を選ぶことである。
「不思議の国のアリス」で、女王の競争命令に異を唱えたアリスの発言に由来する。

発芽も興味深い。

草むしりをすると、雑草が一斉に芽生える。
光を遮るライバルがいなくなったからだ。

種子に赤い光があたると発芽する。
緑の光では発芽しない。
光合成に使われるのは赤色と緑色で、赤色が届くということは、光を吸収する葉が遮断していないことだからだ。

その他の豆知識。

レウコクロリディウムはカタツムリの目の中で動き回る。
縞模様を目立たせて、鳥を呼び寄せるためだ。
そして、カタツムリを食べた鳥の体内に侵入し、卵を産む。

森の果実を食べていた猿の子孫である人間にとって、赤は熟したサインである。
赤色を見ると副交感神経が刺激され、胃腸の働きが活発になる。
赤提灯に惹かれるのはそのためかもしれない。

冬は光合成量が少ない。
しかし、呼吸量も少ない。
結果的に、利益率は悪くない

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です