大人向けの鬼太郎である。
鬼太郎がちっとも強くなく、ずるくて、こきたなくて、ネズミ男に近い感じである。
むしろ、ネズミ男の方が人間味がある。
鬼太郎は、人間とは全く違う幽霊族の末裔として描かれている。
人間とは異質な存在を通して、人間の愚かしさやバカバカしさを風刺している、大人向けのアニメである。

まず、電気グルーヴによるオープニングがカッコイイ。
貸本屋時代の古い絵柄と、ポップな歌が絶妙にマッチしている。

美術や作画のレベルも高い。
東京オリンピックが開催される昭和３０年代の日本の雰囲気と、地獄や異界の風景が見事に描かれている。
たまに、劇画的過ぎて浮いてしまうキャラクターがいるのが残念である。

鬼太郎は、チャンチャンコやリモコン下駄などのおなじみの武器は全く使わない。
ただ、幽霊族なので、死ぬことはない。
薬で身体を溶かされても復活するし、手を切断されれば、手だけが蜘蛛のように動き回る。
日曜の朝に放映している、人間を守る正義の鬼太郎とは大違いである。

また、とても幻想的なアニメでもある。
異常気象？で妖怪しかいなくなってしまった町や、妖怪オリンピックに登場する千年に１歩しか歩かない巨大な鳥などの、ファンタジックなイメージが、昭和３０年代の下町の風景と同居している。
ラブクラフトや西洋の幻想文学のティストを持った、初めてのアニメーションかもしれない。

１１話で終わってしまったが、シーズン２があるのを祈る！

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