フロスト気質

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)どうしようもなくだらしない、我らがフロスト刑事が帰ってきた。
イギリスの地方都市にあるデントン署は、今日も手に余る量の事件に消化不良を起し、フロストのいい加減な捜査に頼るしかない。
フロストの出たとこ勝負の推理は、最終的には、何となく事件を解決してしまう。
この面白さは、読まなければ分からないだろう。

「一体、ビニール袋が発明される前には、どうやって死体を処分していたんだ?」
ビニール袋に入った少年の死体が発見された、と聞いた時のフロストの第一声がこれである。
フロスト刑事は、どこまでも不謹慎で、下ネタを連発するオヤジである。
男から見ると、ある種壮快でもあるこの態度は、女性から見るとどうなのだろう?
ちょっと興味のあるところだ。

そんなフロストだが、誘拐された子供のためには不眠不休で頑張る。
でも、行き当りばったりの推理はよくはずれるので、読んでいる方が不安になってくる。

手柄をたてるのに躍起になっている同僚達と違い、フロストは手柄には興味がない。
解決した事件を、後処理が面倒なのもあって、どんどん人に渡してしまう。
棚ぼた式に全ての事件を解決しているのに、フロストには手柄が残らない。
この欲のなさが、フロストの魅力のひとつである。

とにかく、フロストの下品で、笑わせるセリフを聞くためだけでも、この本を読む価値がある。

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