iPhoneアプリを開発するにあたり、デザインの方針だけを解説した本である。
手軽に作ってしまいがちなiPhoneアプリだが、デザイン面でこれだけ奥が深いのか、と驚かされる。
歴史のあるPCのアプリケーションとは、似ているが別物であることを思い知らされる。
「コンピュータと携帯端末の長い歴史の中でiPhoneほど愛されているものはないといっても過言ではありません」
iPhoneのアプリは、利用者が立ったまま片手で利用することが多い。
そのため、分かり易く、素早く、間違いのないように利用出来なければならない。
機能を絞り込み、ボタンを大きく、Appleの用意した部品を使って開発するのがひとつの正解である、としている。
アプリ開発の参考になるヒントも満載である。
「退屈しのぎのアプリに共通しているのは、「探索」という側面です。すぐれたアプリは行き場所、つまり何かを求めて旅をしたり、さまよったりする世界を与えてくれます」
「(個人)情報を収集し記録するというマイクロタスクを行うだけでなく、これまでの歴史を確認し今後の目標を設定しクリアするというゲームに仕立てあげることも可能なのです」
コミュニティの形成がアプリの寿命を伸ばす。
現在は、コミュニティの仕組みを開発者が用意する必要さえない。
FacebookやTwitterがコンテンツを共有するための手軽なプラットフォームを提供している。
アプリの優位性を検討する時に次の視点がある。
- ユーザーに何か特別な見返りがある
- どうしてもそれをせずにはいられない何かがある
- 非常に絞り込まれたユーザー層に強くアピールする
- ほかの誰にも提供できないニッチなコンテンツである
- 情報を可視化する新しい手法を提案している
- とにかくすばらしい機能を提供する技術をもっている
- そのアプリを使って楽しむユーザーの大きなネットワークが形成されている
- ほかの同種のアプリよりも費用がかからない
- アプリの対象をさらに補強するウェブサイトや実世界の何かがある
iPhoneのマジックナンバーは「44」だそうだ。
指で操作するiPhoneでは、すべての要素が指で押せる大きさである「44×44ピクセル」が基本になっている。
開発をしていると、このような裏に潜む工夫を知ることが出来るのが嬉しい。
次は的を射たデザインのための心得
- 重要な情報を画面上部に表示し、UIパーツは画面下部に置く
- 44ピクセルのリズムを守ってデザインする。
- 違和感のない実現が可能ならば、画面をスクロールせずにひと目で見られるようにする。
- 画面に表示する要素を最小限に絞り込む。
- 高度なツールや細かな設定をするUIパーツは別画面に隠す。
「腕を軽く伸ばした位置までiPhoneを離して苦労せず情報を読み取れるかどうかという「視認性テスト」に合格者するようなデザインを考えましょう」
起動画面は、専用のスプラッシュ画面を出すよりも、初期画面のダミーの方がユーザーには起動時間が短く感じられるらしい。
なるほど!
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