大人のための偉人伝

大人のための偉人伝 (新潮選書)啓発本を読んでいると、「伝記」を読むように薦めていることが多い。
しかし、「伝記」というと子供向けのものばかりで、何を読んで良いかよくわからない。
そこで「大人のための」と銘打ったこの本を読んでみることにした。
実像を知ってみると偉人たちもなかなか面白い。

この本で取り上げられているのは、伝記としては鉄板である次の10人である。

・シュワイツァー
・ヘレン・ケラー
・リンカーン
・ガンジー
・ナイチンゲール
・キュリー夫人
・エジソン
・カーネギー
・野口英世
・二宮尊徳

しかし、漠然と持っていたイメージと、実際の彼らの生き方が違っていて面白い。

医療を提供するためにアフリカに渡ったシュワイツァーは、まず病院が必要だった。
何事においても勉強家で器用な彼は、自分で病院を建造してしまう。
医者である前に、大工だったのだ。

ヘレン・ケラーの前向きな楽天主義は感動的である。
そして、障害はデメリットばかりではないようだ。
「それと同時に、学習能力にいっそう拍車をかけたのが、盲目であるがゆえに持ちえた集中力である。彼女はたえず耳や目に飛び込んでくる雑多な情報にわずらわされることなく、学習に、つまりことばの世界に没頭することができた。」

エジソンもマヌケなまでに楽天家だった。
彼の数多い発明の源泉はそこにあったようだ。
「晩年、夜中に工場が全焼するという災難に見舞われたことがあったが、このときのエジソンの行動にそのパーソナリティがよくあらわれている。
まず、彼は火事の素晴らしい光景に見とれ、近くに住む父親にそれを見せようと電話をかけ、火がまだ燃えている最中に、工場再建の計画をメモに記し、翌朝にはそのことを新聞記者に語り、そして、夜間の火事のばあい、煙に視野がさえぎられ消火活動が十分にできないことに気づいた発明家は、さっそく消防用の強力なサーチライトを考案したのであった。」

リンカーンは優柔不断だし、ナイチンゲールは何よりも政治手腕に優れていたし、野口英世は借金の天才だった。

この本を読むと子供の頃は完璧だと思っていた偉人たちが、人間味溢れる、むしろ変人たちだということが分かる。
だからこそ、愛着も持てるし、身近な存在として参考にしようとも思えて来る。

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