快感回路

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか快感の原因を生理学的に究明し、各種依存症を克服する可能性について書かれた本である。
生理学的に見ると、人間の精神も特殊なものではないような気がしてくる。

快感は、基本的に内側前脳回路の活動とドーパミンの増加に還元できる。
そして、快感には慣れるとさらに強い快感が欲しくなるが、それを得ることは難しく、飢餓感だけが強くなる。
これが依存症である。

本書では、薬、食欲、セックス、ギャンブルの依存症について解説している。
また、悪徳ばかりではなく、瞑想や慈善、そして情報そのものも快感を生む。

人間の行動原理を科学的究明するのは面白い。
しかし、自分自身も同じ仕組みで動いていると思うと、少し寂しい。
以下の著者の言葉は、多少の希望を与えてくれる。

私たちの生活に命を吹き込んでくれるこの快楽について、どう考えればよいのだろう。
素敵な食事、祈りの中で神様とつながっていると感じる至福の感覚、極上の夜の営み、土曜日の朝の「ランナーズハイ」、友人と酒場で過ごすほろ酔い気分の愉快な夜、それらが全部、内側前脳回路の活動とドーパミンの増加に還元できるというだろうか。
その答えは、イエスでもあり、ノーでもある。
イエスというのは、私たちが何かを心地よいと感じる時、ほとんどすべての場合に内側前脳回路に関係する報酬の神経調節器が働いていると思われるからだ。
ノーというのは、快感回路が単独で活動しても、色合いも深みのもない無味乾燥な快感が生じるだけだからである。
快感が私たちにとってこれほど力を持つのは、快感回路と脳の他の部分との相互連絡によって記憶や連想や感情や社会的意味や光景や音や匂いで飾り立てられているからだ。

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