リーンスタートアップ

リーン・スタートアップ
リーン開発手法は、怪しげなので近寄らないようにしていた。
ソフトウェアの開発手法としては、現実的ではないと考えてた。
しかし、企業のスタートアップに関するリーンの適用は、納得できる部分が多かった。

どういう人が顧客になるのかやどういう製品を作るべきかさえまだわからないがスタートアップなのだ。
しかも世界は不確実な方向へ進んでおり、未来はどんどん予測しづらくなっている。
旧来のマネジメント手法ではそのような状況に対処できない。
比較的安定した環境で長期にわたる安定操業の歴史があってはじめて、精度の高い計画や予測が可能になるからだ。
スタートアップではどちらの条件も成立しない。

確かにその通りだ。
iPodやiPhone、googleやfacebookなど、実際に市場に登場し、席巻しなければ予測も出来ないものばかりだ。
技術的には可能であり、売れるかもしれないとイメージは出来る。
しかし、企画書で売上を証明出来る商品・サービスではない。
そして、これらの商品・サービスが世界を変えている。

少ない資本で市場に投入し、様子を見ながら展開していくのが現代のビジネススタイルだ
幸運なことに、実験的なサービスが低コストで初められるのが現代である。
googleやamazonで仮想マシンをレンタルし、オープンソースを組み合わせれば、それなりのサービスを低コストで素早くリリース出来る。
仮説を実験するためのオモチャを作る環境には困らない。

とかく製品の品質を突き詰めてしまう日本人には、高速に実験と失敗を繰り返す重要性を説く本書は、良い刺激だと思う。

リーン・スタートアップの本質をわかりやすく表現すると「地図を捨ててコンパスを頼りに進め」ということになる。
イノベーションに必要なコストが劇的に下がった現在においては、あるプロダクトを生み出すためにそれを成功に導くまでの「地図」を描こうとすると、その作業だけでプロダクトを開発する以上のコストがかかってしまう。
たとえ地図ができたとしても、イノベーションが急速に進むいまの世の中では、プロダクトを開発している途中でゴールが変わり、地図そのものが陳腐化する可能性が高い。
こうした状況においてはむしろ地図など初めから持たずに、市場の変化を敏感に感じ取るコンパスを手に、しなやかにプロダクトの方向性を変えていったほうがよい。

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