幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る現代のゲームのパワーを使って、みんなで幸せな世界を創ろう!という本である。
いま流行りのゲーミフィケーションのような小手先の手段ではない。
最先端のゲームが目指す人々を幸せにする技術とネットワークの力を利用して、楽しみながら世界の抱える課題の解決を目指す。
ワクワクする提言だ。
作者は経験豊富なゲームデザイナーであり、豊富な事例には説得力がある。

なぜ、ゲームが人を幸せにするのか?
それは、ゲームには以下のような特徴があるからだ。
・ゴール
・ルール
・フィードバックシステム
・自発的な参加

上記の特徴を持ち、よくデザインされたゲームを楽しむプレイヤーは、ポジティブ心理学における幸せを感じる状態に近い。
現代のゲームデザインは、内発的報酬をベースにした幸せのエンジニアリングに向かっている。
それに比べれば、現実は退屈である。

現実を作り替える「代替現実」と呼ばれるゲームが広がりつつある。
これは、現実に影響を与えるゲームである。
家事をゲームにすることで、退屈な家事を楽しく行えるようになる。
ゲームシステムの現実世界への適用は、学校教育、病気や怪我からの回復など、様々な分野で進んでいる。
著者の考案したゲームがとても実験的である。
墓を使ってポーカーのようなゲームをするのだ。
楽しみながら死について考えることで、限りある生の重要さを実感できるらしい。

ネットワークを使ったゲームは世界を変えつつある。
イギリスでは議員の使った経費の領収書が公開されたが、それは100万件のイメージファイルだった。
普通ならば誰もチェックしようと考えないが、「地元選出議員の経費を調べよう」ゲームにしたことで状況は変わった。
2万人の市民がイメージデータを解析したことで、不正に経費を使っていた複数の議員が辞職に追い込まれた。

ボランティアで運営されているウィキペディアも、参加者が継続的に執筆・編集出来るのは、以下のような理由だと関係者が語っている。
・心をつかんで離さないゲーム世界
・満足感を与えてくれるゲームメカニクス
・意欲をかきたてるゲームコミュニティ

「フリーライス」では、ゲームすることで飢餓に苦しむ人々に食糧を贈っている。
大勢の人の小さな貢献が大きな成果になっている。
「ワールド ウィズアウト オイル」では、石油危機での日常のシナリオを考えるゲームである。
政府や研究機関では不可能な多様な視点でシナリオが作られる。
それだけではなく、参加者は現実の問題へ関心を持つ、改善を試みるようになる。

500ページを越える本書では、面白いアイディアや事例がたくさん詰まっているので、とても紹介し切れるものではない。
ゲームは現実逃避の遊びであるという先入観を吹き飛ばす、とても興味深い本だった。

ゲームをプレイするとは、取り組む必要のなり障壁を、自発的に越えようとする取り組みである。
哲学者バーナード・スーツ

ポジティブ心理学の登場以降、ゲーム産業の創造的なリーダーたちは、ゲームの与える感情的、心理的な影響に関心を持つようになってきました。ますます多くの主要ゲームスタジオのディレクターやデザイナーが、ポジティブ心理学の研究成果を取り入れて、より優れたゲーム作りをしようとしています。ゲーム産業は、プレイ時の感情に関する神経生物学的な研究に特化した科学的研究を行うラボをいくつも設立しています。

何がこの「ワールド オブ ウォークラフト」に、かつてない成功をもたらしたのでしょうか? それは何より、このゲームが与える「至福の生産性」の感覚に他なりません。
至福の生産性とは、仕事に深く没頭して、すぐに目に見える成果を得ている感覚です。結果が明確であればあるほど、その境地に至るのも早くなり、至福の生産性がさらに高まります。WOWほど、そうした感覚を与えてくれるゲームはありません。

2009年4月、「ヘイロー3」のプレイヤーたちが、背筋がゾクゾクするような記録達成を祝いました。ヘイロー世界の敵、コヴナント軍を通算100億キル、つまり100億人倒したのです。これはおよそ地球上のすべての人類を1.5回倒した計算になります。(中略)
この達成のために、現実世界でも仮想世界でも地球上で最大の軍隊が組織されました。1500万人以上の人々が、このSFゲーム世界の地球軍の一員としって戦いました。これはおよそ現実世界の主要25カ国の現役軍人すべてを足しあわせた数に匹敵します。

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