ゼロ・トゥ・ワン

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか有名な起業家にしてエンジェル投資家のピーター・ティールによる少し変わった企業指南書。
アメリカ人の思想やハイテク・バブルの状況を社会学者のように分析しており、普通のビジネス書よりも奥が深い。
しかし、自身もペイパルを立ち上げた起業家であり、多くのベンチャー企業を支援している彼の実践的なアドバイスにも説得力がある。

「テクノロジーは奇跡を生む」というのが彼の信念のようだ。
だから、改良ではなくテクノロジーを使ってゼロから生み出すことを強く薦めている。
成功をコピーするグローバリゼーションでは競争に巻き込まれ、利益が出ない。
圧倒的な違いで独占してこそ、継続的な先行投資が可能になる。

これだけ「独占」を善とする本も珍しい。
彼によれば、「競争」とは経済的な概念ではなく、イデオロギーだそうだ。
ベンチャーにおいては圧倒的優位による独占と、終盤を利する計画が必須なようだ。

ベンチャーにはスタートアップの組織が向いているらしい。
大組織では身動きが取れず、ひとりでば業界にインパクトを与えるほど大きな変革はムリだからだ。

彼がハイテクバブルを分析した結果、ベンチャーでは以下の鉄則がある。
1.小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がよい。
2.出来の悪い計画でもないよりはよい。
3.競争の激しい市場では収益が消失する。
4.販売はプロダクトと同じくらい大切だ。

「ベンチャーキャピタルのべき乗則」というのも面白い。
ベンチャーにおいては、成功企業は正規分布にはならない。
ファンド中最も成功した投資案件のリターンが、その他すべての案件の合計リターンに匹敵するか、それを超えるらしい。

アメリカ人は競争を崇拝し、競争のおかげで社会主義国と違って自分たちは配給の列に並ばずにすむのだと思っている。でも実際には、資本主義と競争は対極にある。資本主義の資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってはならない。

確かな経験則から言えるのは、プロプライエタリ・テクノロジーは、本物の独占的優位性をもたらすようないくつかの重要な点で、二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならないということだ。それ以下のインパクトではおそらくそこそこの改善としか見なされず、特にすでに混みあった市場でも売り込みは難しい。
10倍優れたものを作るには、まったく新しい何かを発明するのがいちばんだ。(中略)
または、既存のソリューションを劇的に改善してもいい。10倍の改善ができれば、競争から抜け出せる。

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