天才!成功する人々の法則

天才!  成功する人々の法則成功するのに必要なのは天賦の才能ではない。
では、努力かと言うと、それだけでもない。
その人が属する文化を含む状況が大きな要因となっている。
本書では、コミュニティという観点から人々が成功する原因を分析している。
書き方がうまいので、エンターテイメントとしても楽しめる本である。

本書の冒頭で、カナダのアイスホッケーのスター選手の一覧が提示される。
彼らの共通点は何か?
驚くべきことに、それは生年月日である。

カナダのアイスホッケーでは、幼い頃から才能のある選手を抜擢する。
しかし、成長期の子供では1年の間で大きな違いが生まれてしまう。
つまり、1年の最初の頃に生まれた子供は、最後の頃に生まれた子供にくらべて、体も大きく、体力もあるのだ。
そして、幼いことに抜擢された子供は、レベルの高いチームに属し、多くの練習量をこなすことでスター選手になる可能性が高い。
カナダでアイスホッケーのスター選手になるには、誕生日が大きな影響を及ぼすのだ。

この本では、このように人々が成功する要因を、個人の才能や努力ではなく、時代や文化、コミュニティの特殊性に求めていく。

ビル・ゲイツが成功したのは、ホストコンピューターの普及が落ち着き、パソコンが出現した年に、たまたま20代だったからであり、その他の多くの偶然が彼の味方をした。
ユダヤ人移民がニューヨークで成功したのは、ユダヤ人に農業が許されないた衣料関係の技術を持つものが多く、ユダヤ人がニューヨークに移民した時期は服飾業が主要産業だったからである。
他の移民が小作人として働くなか、小資本で商売を始められる服飾業では、自ら店を持ち、発展させることが出来た。
中国人や日本人が勤勉なのは、小麦畑よりも遥かに手間がかかる水田農耕によるものである。

いままで考えたこともない、面白い視点の研究だ。

歴史家のグレアム・ロブは著書「フランスの発見」で、フランスのような国の農夫の生活を紹介し、19世紀に入ってかなり経ってからも、基本的に労働期間は短く、怠惰に過ごす期間が長かったと論じている。(中略)
あなたが中国南部の農業従事者なら、冬を寝て過ごしたりしない。乾季を迎える11月から2月までの短い休みには、せっせと内職する。竹の籠や帽子を作って市場で売る。水田の溝や畦を修理し、泥の家をつくり直す。息子を近くの村の親戚の家に手伝いにやる。豆腐やゆばをつくり、蛇や虫を捕まえる。そして春の訪れとともに、夜明けの水田に戻って行く。稲田では、同じ規模のとうもろこし畑や小麦畑より10〜12倍もの労働力を必要とする。
ある試算によれば、アジアの稲作農業者の年間労働量は3000時間にものぼるという

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