屍者たちの帝国

書き下ろし日本SFコレクション NOVA+:屍者たちの帝国 (河出文庫)「屍者の帝国」は、伊藤計劃が残した原案を元に円城塔が完成させたスチームパンクである。
この「屍者たちの帝国」は、その世界観の中で、複数の作家が描いた短編が収録されている。
短編集という名のパーティーである。
それぞれが楽しんでいる感じが伝わってくる。

この短編集では、新旧のSF作家が作品を提供している。
山田正紀や宮部みゆきなどの大御所から、これからの活躍が期待される新人たちだ。
新人たちは、今後おお化けするかもしれない。

藤井太洋「従卒トム」
高野史緒「小ねずみと童貞と復活した女」
仁木稔「神の御名は黙して唱えよ」
北原尚彦「屍者狩り大佐」
津原泰水「エリス、聞えるか?」
山田正紀「石に漱ぎて滅びなば」
坂水雄一「ジャングルの物語、その他の物語」
宮部みゆき「海神の裔」

スチームパンクの特徴を最大限に活かし、現実の人物とフィクションのキャラクターが縦横無尽に活躍している。
そして、SF作家らしく、「屍者の帝国」の設定を再解釈、拡張し、世界を押し広げる手腕はさすがである。

特に「小ねずみと童貞と復活した女」の弾けぶりはスゴい。
アルジャーノンから、キャプテン・フューチャー、ブレードランナー、2001年宇宙の旅、ソラリスまで引用している。
書いていて、さぞ楽しかったことだろう。

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