劇場版 虐殺器官

虐殺器官 アートワークス待ちに待った伊藤計劃デビュー作の劇場版アニメーションである。
しかし、あまりに渋すぎる。
原作通りなのかもしれないが、華がないのでヒットは望めないだろう。
それが悪いという訳ではないが。

制作会社が倒産したために公開が随分遅くなってしまった。
続編である「ハーモニー」の方が先に公開されてしまったので、「ハーモニー」から観た人は、なぜあのような世界になっていたのか分からなかったことだろう。

人間には互いに殺し合う「虐殺器官」とも言える仕組みが脳内にある。
それを発見し、操ることができるアメリカ人ジョン・ポールは、世界各地を渡り歩き、先々で内戦を煽る。
アメリカの暗殺部隊の一員であるシェパードは、ジョン・ポール捕獲の命令を受け、彼の元恋人をマークするのだが・・・

7年前に原作を読んだ時、まず面白かったのが、輸送機などの機械に動物の組織が利用されていることだった。
最新の兵器が機械と生物のハイブリッドである状況が新鮮だった。
映画でも同じなのだろうが、あまりにさり気なく画面に登場するので、小説ほどのインパクトがない。
絵で見せる映画と説明する小説の違いなのだろうが、この映画では、もっとハッタリをかました演出をしても良かったと思う。
「劇場版サイコパス」のようなアニメらしい派手な表現をして欲しかった。

そして、説明が少ない。
この頃の日本映画・ドラマは説明過剰だ。
それに比べて最低限の説明しかしないこの映画は、とても潔いとは思う。
思うが、これで原作を読んでいない人が理解出来るのか不安になる。
特に、最後のシェパードの決断は、分かってもらえたのだろうか。

この映画も悪くないのだが、もっとハデなバージョンも観てみたい。

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