ベトナム戦争で活躍したスナイパーが、謎の組織の策略に嵌り、犯罪者として追われることになる。
彼は、FBIの捜査官と組んで敵を追い詰める。
有名な作品であり、映画化もされているし、Netfliexでドラマ化もされている。
やはり面白かった。
主人公が銃を愛するスナイパーだけに、銃器についての描写と薀蓄がとても多い。
最初はちょっと面倒だと思ったが、実は銃についてのこだわりが重要な伏線になっていた。
スピーディーな展開と個性的な登場人物だけで、十分に楽しめるエンターテーメントである。
それに加えて読者を欺く知的な作戦で楽しませてくれる。
単なるガンアクション小説ではなかった。
それに比べて、映画版のオチは酷い。
法的に勝てなかったからといって、相手を撃ち殺すとは、とても現代アメリカが舞台とは思えない。
同じ主人公でシリーズ化されているようだが、読むかどうかは難しいところだ。
これだけ完成度が高いと、他の作品が本作を超えるとは思えない。
スコープのなかで、十字線が呼吸にあわせてかすかに揺れていた。これこそ真の敵だった。ウィリー・ダウニングでも、ニック・メンフィスでも、アキュテックでも、ほかの誰でもない、真の敵は自分自身の心臓だった。
おそらくは、可能なかぎりいまの状況に似せて作られた場所で、千回、いや一万回は射撃練習をしたことだろう。自分がやつの立場にいれば間違いなくそうした。
「あなたを憎めたらって思うわ、ボブ。あなたは骨の髄から人でなしだわ。でも、あなたを憎むのは、お天気を憎むのとおんなじ。何のいいこともないわ」
「われわれに借りを返そうとする。われわれは、あの戦争以来味わったことのない楽しみをやつに与えているんだ」
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