裏世界ピクニック

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)早川書房のSFマガジンでは、百合特集で盛り上がっているらしい。
それではと、その分野で有名な「裏世界ピクニック」の1巻を読んでみた。
私には、ちょっと合わなかった。

我々の世界と隣り合って「裏世界」では、こちらの物理法則が通じず、異様な生物が闊歩している。
しかし、そこには、こちらの世界の知識を超えたオーバーテクノロジーの品物があり、それを求める冒険家いる。
主人公の2人の少女は、行方不明になった友人を探し、裏世界を彷徨う。

まず、「ストーカーじゃないか!」とつっこんだ。
ストルガツキー兄弟の「路傍のピクニック」のタルコフスキーによる映画化「ストーカー」の設定そのままである。
ご丁寧に、ボトルを投げるシーンまで登場する。
「ストーカー」に影響を受けた作品は数多く(「ダーカー・ザン・ブラック」やキングの「ドーム」、「絶滅領域」などなど)、これはパクりというよりも、世界観を借りて、その中で創作する、ということなのだろう。
それほどまでに、魅力的なアイディアなのだろう。

この作品では、裏世界の不可思議な現象に、都市伝説を取り入れているところにも独自性がある。
まあ、でも、続きは読まないかな。

「血が出るなら殺せる」──ダッチ・シェーファーもそう言ってた。

「よく見ろ」
もう一度そう言って、ボルトを放り投げた。私の1メートルほど先に向かって。

シミュラクラ現象だ。
人間の脳には、顔認識プログラムが入っている。
他人の顔を検知することが重要なので、三つの点があればそれを顔として認識してしまうのだ。
心霊写真のうち、木の葉や影の中に顔が見えるやつは、だいたいこれで説明できる。
脳のバグというか、仕様上回避できない錯覚の一つだ。

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