人類、宇宙に住む

SF的未来紹介で楽しませてくれるミチオ・カクが、今回は宇宙移住について解説している。
宇宙開発の歴史から現代の状況、そして未来と、その先の未来への続く。
「その先の未来」の話は、量子力学を元にした多元宇宙にまで行ってしまっているので、ついて行けなくなってしまった。
宇宙移住を中心にして、現代科学のあらゆるトピックをぶちこんだ気もするが、それはそれで楽しめた。

まず、宇宙移住について、先人たちの言葉がカッコいい。

人類の長期的な生存がおびやかされているとしたら、われわれは、自分たちの種に対し、敢然とほかの世界へ向かう基本的責務を負っている。(カール・セーガン)

恐竜は宇宙計画をもたなかったがゆえに絶滅した。だからもしわれわれが宇宙計画をもたないばかりに絶滅したら、自業自得だ。(ラリー・ニーヴン)

ここまで言われたら、宇宙を目指さないわけには行かない。

今日、宇宙ビジネスが盛り上がっている。
アメリカの富豪たちが、宇宙開発へ投資しており、民間による有人火星飛行も計画されている。
ロケットを発射するステーションを月の軌道上に建設する計画もあるようだし、宇宙の金鉱である小惑星をめぐりゴールドラッシュが起こるかもしれない。

地球より遥かに重量の小さい月では、人間は3倍高く飛べるので、新しいスポーツのルールが必要になることや、火星には太陽系最大の火山があり登山家を待っていることなど、ワクワクするよう未来が描かれている。

化学燃料のロケットは、そのほとんどが燃料で、燃料を高速に移動させるために燃料を使っており、効率が悪い。
地上からのレーザーを帆に受けて飛ぶナノシップは、その点とても効率的なので、未来の宇宙探検の主流になるかもしれない。
しかし、この小さな船には人間が乗ることはなく、AIたちが探検の主体になる。
その方が良いのは分かるが、とても味気ない。

いつの日か、われわれはサイバネティクスを駆使したり、さらにはみずからの遺伝子構成を変えたりすることで、身体を改変して強化し、系外惑星の過酷な環境を生き抜かなけくてはならないかもしれないからだ。トランスヒューマニズム(超人間主義)は、SFの一分野や異端的な運動ではなく、われわれの生存そのものにとって不可欠なものとなる可能性がある。

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