量子力学で生命の謎を解く

読み終わるのに時間がかかり、そして難しかった。
感覚的に理解できない量子物理学と最新の生命科学の両方を説明されるので、ついて行くのが辛い。
その上、両者の説明が長く、肝心の両者の接点がかすれてしまっている。
話としては面白いのだが、事例の紹介が長く、本題を見失ってしまうところもあった。
今後、重要な分野だとは思うが、この本だけでは納得出来なかった。

すべての物質は量子法則の影響下にあり、当然生物も例外ではない。
この本では、生物の謎とされている現象を、量子力学の観点で解明できないか考察している。

我々が通常目にするマクロサイズのモノは、その大きさゆえに、内部の粒子はお互いの量子物理学効果を消し合い、量子力学は発生していないように見える。
しかし、遺伝子サイズならば量子力学の影響を受けることにある。
例えば、酵素の働きは、電子を動かすことである。
超えられない壁を越える量子トンネル効果により、低温でも電子が動く確率が上がっている、と考えれれる。

光合成では、光子のエネルギーを反応中心に届ける必要がある。
その時、植物は量子ウォークによって最適なルートを発見している。

動物の鼻では分子を形態で判断しているとされたが、それでは判断されている種類には足りない。
嗅覚受容体は、分子の振動を感知し、それを判断に利用しているという説がある。
振動の検知に量子トンネル効果を利用しているという。

渡り鳥は地磁気のような弱い力を感じる力がある。
量子もつれを使って、電子の移動を感知しているのかもしれない。

というような興味深いトピックが紹介されている。
しかし、本書でも言っているように、量子力学の現象は感覚的に納得できないので、それを生物が利用していると説明されても、腑に落ちない。

量子力学がなかったら、スマートフォンもGPSもMRIもなかっただろう。概算によれば、先進国の国内総生産の3分の1以上は、量子世界の力学の知識がなければ存在しなかったはずの応用技術に依存しているのだ。

量子もつれについてはまだ説明していなかった。それは量子力学のなかでもおそらくもっとも奇妙な性質だ。いったん一緒になった粒子どうしは、互いにどれだけ遠く引き離されても、魔法のように瞬時にコミュニケーションを取れるのだ。

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