鵼の碑(いしぶみ)

17年ぶりになる京極堂シリーズの新作である。
読みやすいのだが、分厚いのでなかなか進まない。
今回は電子書籍で購入したのだが、読んでも読んでも進捗のパーセンテージが進まない気がした。
登場人物が多いので混乱する。
今回は、あまり妖怪小説っぽくなかった。

行方不明の捜索が、戦前の日本の核開発の秘密に繋がっていく。
最後の最後で強引に妖怪に持って行った感じ。
京極堂のウンチクは相変わらず。
事件があったようで無かったような。
アインシュタインまで絡めて、良く出来ていたんだろうけど、関係者が多くて、分かりにくかった。
最後の3人は、別シリーズの子孫か?

「お化けそのものは怖くないですか」  
居ない からなあと中禅寺は云った。  
身も蓋もない。
「まあ、最近では 居る ことを前提にした無粋な心霊譚なんかもあるからね。でも」  
居ないからなあと中禅寺は繰り返す。
「居ません──わなあ」  
仁礼は築山の方に顔を向けて苦笑した。
「居ないだろ。居ないけれども居ることに しておく と云う文化的なお約束が 反故 になってしまったんだから困ったものさ。怪談と云うのは居るか居ないか判らない虚実皮膜で語られるものなのであって、恐がらせるため 居る ことを前提に据えて語るなんて単なる悪趣味な与太だよ。また、その前提を無批判に信用して恐がるなんて、思考停止だろう。だからと云って心霊科学のような誤った考えを巡らされても困る訳だがね」

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